見出し画像

資金調達とこれからのHIKKYについて。

本日、「バーチャルマーケット」主催の株式会社HIKKYは、シリーズAラウンドの1stクローズにて株式会社NTTドコモ様より65億円の資金調達を行った発表を行いました。

この記事では、その資金調達がどんな意味をもつか、そしてHIKKYは今後どうなり、どうしていくのかについてご説明いたします。


調達金の使途は?

主にVketCloudなどの開発資金へ

今回調達した65億円は、主にVketCloudなどを中核とする「オープンメタバース」の開発に使います。

・オープンメタバースの開発、サービス提供
・Vket Cloudエンジンの開発体制の強化
・バーチャルマーケット事業の開発体制の強化
・海外展開を含めた事業拡大

これら、HIKKY自社開発のVRコンテンツ開発エンジン「Vket Cloud」を始めとした、VR関連サービスの開発体制の強化、同エンジンを用いたオープンメタバースの開発・運営、バーチャルマーケットやVket Cloudを含むVRサービス事業の国内外への拡大、組織基盤強化といった形で使われることになります。

オープンメタバースとは

昨今、ニュース等で「メタバース」という言葉をよく目にするようになりました。仮想現実空間を発展させ豊かにする事をビジョンに掲げ邁進してきたHIKKYとしても、世界でバーチャルな空間に注目が集まりつつある状況を喜ばしく思っています。

しかしながら、私達の目指すビジョンを語る上で、「メタバース」という表現だけでは私達の思い描く世界を正しく伝える事は難しく、それをどのように表現するべきか考えた結果、私達は新しく「オープンメタバース」という概念を提唱することにしました。

HIKKYが提唱するオープンメタバースとは、このような特徴をもつバーチャル世界の概念です。

・プラットフォームの壁を超えて人々が行き交う環境
・オープンワールドにおける大人数での体験やコミュニケーション
・独自ドメインでオリジナルのコンテンツ展開
・デバイスフリー&アプリレスでの簡単なアクセス

これは、単一企業が運営するプラットフォームとは異なる概念です。

「プラットフォームの壁を超えて人々が行き交う環境」…プラットフォーマーやサービス提供者、あるいは個人単位での様々なVRコンテンツ・サービスが、それら単独で閉じたものではなく、人々が互いに行き来できるオープンな世界です。

「オープンワールドにおける大人数での体験やコミュニケーション」…特定の”ワールド”や”ルーム”、”インスタンス”といったシステム上の制限を限りなく拡張し、現実世界のようにどこへでも歩いて行くことが可能で、また、アクセスしている誰とでも体験を共有し、コミュニケーションをとることができるそんな世界です。

「独自ドメインでオリジナルのコンテンツ展開」…今VRコンテンツを独自に始めようとすると、VRアプリケーションを0から開発するか、既存のVRプラットフォーム上に展開するしか方法がなく、独自でのサービスやコンテンツの展開については非常にハードルが高い状況です。オープンメタバースでは、それを可能な限り簡単に、かつ独自のドメイン上でのサービスやコンテンツ展開をも可能とします。

「デバイスフリー&アプリレスでの簡単なアクセス」…ヘッドマウントディスプレイやゲーミングPCなど高価な機材や、複雑なアプリケーションのインストールなどを必要とせず、手持ちのツールで誰でも簡単にアクセスできます。

これによって成し遂げられるのは、人の行動や創造性がサービス側の都合によって阻害されず、現実の制限にも束縛されない自由な世界です。HIKKYが目指すのは、そんな世界で、人々のコミュニケーションや生活、そして経済活動すらも行われていくようになることなのです。

クリエイターやコミュニティへの還元はあるのか

HIKKYが目指す未来、その構想の根底には、あらゆる人が輝ける世界を実現したい、という思いがあります。この「あらゆる人」には、クリエイターの皆さんはもちろん、今まで何らかの理由で望み通り働くことが難しかった人なども含まれています。そんな未来を実現できるかもしれない可能性が、私達はバーチャルの世界にあると信じ、ここまで走り続けてきました。

バーチャルの世界は、才能あるクリエイターやイベンター、コミュニティなど、様々な人々による活動と創造によって創り上げられてきました。勿論バーチャルマーケットも、数々のクリエイターの皆さん、コミュニティの皆さんの手により創り上げられ、今日に至っています。バーチャルの世界は、誰か1人が創り上げた物ではなく、数多くの人の活動によって生まれた物であり、だからこそ広く開かれた物であるべきだと考えています。

私達は、そんなバーチャルの可能性が今まで以上に多くの人に届き、どんな人でもチャンスを掴むことが出来る世界を望んでいます。それを実現するために、私達はオープンメタバースを、私達自身の手で描き出すことにしました。

これは本当に長く続いていく挑戦となります。今すぐにクリエイターやコミュニティの皆さんに何かを還元できるわけでは無いかもしれません。しかし、私達の描こうとしている世界は真っ白な自由帳のような物であり、それは様々な可能性を秘めた自由な世界です。

描き出したその世界の先で、皆さんが豊かになったという実感を得られることができたならば、それが私達の本当に望む「還元」の姿であると思っています。

私達はこれからも私達のままです。

ここで皆さんにお伝えしたいのは、資金調達を経ても、私達の目指すものはこれまでと変わらない事、むしろ今までしたくても出来なかった事が可能になった事、より一層力強く進んでいくことが出来るようになったという事です。

HIKKYの独立性は維持されます

今回の第三者割当増資、すなわち「投資を受ける」タイプの資金調達では株式の一部を売却することになるため、その株式保有の割合によっては経営における自由な意思決定に影響が出る場合があります(いわゆる企業買収はこの方法で行われることが多いです)。

しかし今回の資金調達では、経営における意思決定への影響は発生しない保有率となり、HIKKYはこれまでどおりHIKKYとして、事業を続けていくことになります。

これがプレスリリースにある「当該両クローズによる資金調達後も、当社の独立性が維持される予定です」の意味です。

ドコモ様との今後の連携

上記の通り、今回の資金調達はHIKKYの独立性・自主性が維持される形で完了し、これまでのHIKKYの活動を制約するものにはなりません。

そしてドコモ様とは協力のもと、xR関連事業の連携を深め、双方の事業を発展させていく取り組みを推進していく予定です。

現在、ドコモ様と協議の上、これからのサービス連携のあり方について検討を行っています。

なぜドコモ様なのか

今回の資金調達では、ドコモ様以外にも実はたくさんのご提案をいただいていました。しかし、私達が最も重視している「創造性が尊重される世界を、クリエイターの皆さんと共に創っていく」という理念、それを深く理解してくださったのがNTTドコモ様でした。

私達の目指す未来を創っていくためには、この理念を守っていくことが必須になります。その理念こそが、目指す未来そのものを示す物でもあるからです。そのため深く理解し共感してくださったドコモ様と、同じ未来を共に目指していく事にいたしました。

バーチャルマーケットへの影響は?

今回の調達先となるNTTドコモ様とは、バーチャルマーケット自体には直接関わらないお約束を結びました。そのため、個々の表現について制約が加わったり、クリエイター主体から企業主体に変わっていくという事も起こりません。

バーチャルマーケットは、これまで通りバーチャルマーケットであり続けます。

これからのHIKKY

今後HIKKYは、バーチャルマーケットなどの活動によって繋がった数多くのクリエイターや、パートナー企業の力を借りながら、自社開発エンジンであるVket Cloudを用いて「オープンメタバース」の開発・サービス展開を行います。

オープンメタバースが、これまでの社会では評価される機会の少なかった物も含めた、ありとあらゆる人の創造性やコミュニケーションが新しい価値として認められる新たな経済圏となっていくことを目指し、私達は様々なサービスを提供していきます。

これを通して、私達はこれまでと変わらず「バーチャルマーケットなどの開催を通じて仮想現実空間を発展させ、豊かにする」事を基軸としつつも、これまで以上に多くの人に「きっかけ」を提供していくことを目指していきます。

ぜひご期待いただければ幸いです。

補足 : 資金調達

「資金調達」という事柄自体について、大まかな説明で補足します。ここでは厳密性はとらず、大まかなイメージを掴んでいただければ結構です。

「資金調達」とは

資金調達とは、事業に必要な資金を外部から集めることです。多くの場合、企業が開業するときや事業を拡大していく時に行われます。

一般に、企業が資金を集める方法としてはざっくり3つの方法があります。

・誰かから借りる(借入金、社債とか)
・投資を受ける(株式を売る、投資タイプのクラファンなど)
・資産を売る(不動産や設備、債権とかを売る)

このうち、「借りる」場合は調達先の選択肢は比較的多いが返済の義務が発生する、「投資を受ける」場合は返済の義務は無いが、買収/合併などの可能性が生じる、「資産を売る」場合は経営効率化などが望めますが、実際の資本の価値より低い価格になりやすいなどの特徴があります。

今回HIKKYが行ったのは、「株式会社NTTドコモ様を引受先とした第三者割当増資」となり、上記のうちの「投資を受ける」に相当します。

「シリーズAラウンド」や「1stクローズ」とは

「ラウンド」とは、ベンチャー企業が資金調達を受ける際にどういった段階にあるか?を示す概念です。

大きくはシリーズA、シリーズB、シリーズCに分類されています(厳密にはエンジェル、シード、あるいはアーリー・ミドル・レイターなどの分け方もありますが、ここでは割愛します。)

今回の資金調達は「シリーズAラウンド」に相当し、ざっくり言えば「サービスの方向性が定まって事業拡大を行なっていくにあたり、最初に行う資金調達のフェイズ」です。

また、一つのラウンドで複数回の調達を行う場合があり、調達が完了するたび「ファーストクローズ」「セカンドクローズ」…というような言い方をします。

今回はシリーズAとして最初の調達になるため、「シリーズAの1stクローズ」となります。

シリーズAラウンドでの「65億円」という金額

実際のところ、シリーズAラウンドでの調達額としては類稀に高い額となります。

シリーズAの調達額は、平均的には3~10億円前後と言われていることが多く、今回の65億円という額はシリーズAの調達額としてはかなり高い金額です。

それだけ、バーチャル空間の経済圏は注目されており、私達HIKKYはもちろん、ドコモ様も本気であるという事です。